小笠原といえば、やっぱり海!ダイビングも大好きだけど、お金をかけずに同じくらい楽しめるのがシュノーケリング。機材に頼らず、自分の身体ひとつで海とひとつに。その素潜り感覚が僕は好きだ。
とくに、小笠原は他のビーチリゾートとは違って、船を使わずに行けるシュノーケリングスポットが豊富。毎日違う場所で泳げるから、毎日違う海の中を探検できる。地形、珊瑚礁、魚の種類、ぜんぶ違うから、ぜんぜん飽きない。
しかも、道路が少ない小笠原では、ビーチにたどり着くまで徒歩20分〜150分、山やケモノ道を越えていく必要があったりするから、トレッキングも一緒に楽しめる。固有種の緑、鳥、虫を味わいながらの山登りで、汗をかいて海にとびこむ。これがまた最高に気持ちいいのだ。
ツアーに申し込まなくても、行き当たりばったりのシュノーケリングだけで、1航海(3日間の旅程)は過ぎてしまうぐらい、見どころ、泳ぎどころが豊富な小笠原。パラオやマラパスカなど、世界中でシュノーケリングをしてきた僕が、ほぼ全ビーチで泳いだ結果をランキング!
1位:釣り浜

アクセス△ 魚影◎ 珊瑚◎
海岸に降り立ったときには、パッとしないかもしれない。ただ、潜ってみると、魚の数、珊瑚礁のバリエーション、すべてが段違い。潜るのが上手くなくても、大量の魚たちと泳げる広大な浅瀬。その先には、急激なドロップオフ。一貫して透明度が高く、一日中、いや3日連続潜っても飽きないかもしれない。
2位:境浦

アクセス◯ 魚影△ 珊瑚×
珊瑚も魚影もいまひとつなのに、なぜ2位なのか。その理由は「沈船」。地上からも突き出て見えていますが、「濱江丸」と呼ばれた船が朽ちています。とにかくシュノーケリングで沈船を冒険できるなんて、僕は聞いたことがありません。当然ですが船の周りには魚が多く、船の周りを1周するだけでも十分楽しめますが、泳ぎに自信がある人は、中に入って冒険すると2倍楽しいです。
3位:宮の浜

アクセス◯ 魚影◯ 珊瑚◯
釣り浜を、すべての面でスケールダウンさせた感じ。それでも、十分に平均点は高い。釣り浜より波が穏やかでエントリーしやすく、直接クルマで乗りつけられるアクセスも魅力です。シュノーケリングがはじめてであれば、ここで慣らしてから釣り浜に挑戦するのが良いかも。
4位:製氷海岸

アクセス◎ 魚影△ 珊瑚◎
見どころは、なんと言っても「枝珊瑚」。海岸からわずか数メートルで世界が一変。視界のすべてが木の枝のような珊瑚で埋め尽くされます。その景色はまさに圧巻。世界に知られていない絶景のひとつだと僕は思います。町の中心部から歩いていけるアクセスはピカイチで、湾内にあるため波も少ないことが多いのも◎。想像を絶するほど泳げない「わっち」が唯一、水着になった海岸でもあります。
5位:小港海岸

アクセス◯ 魚影△ 珊瑚△
通算すると、いちばん通ったビーチ。広大な白い砂浜、青い海、青い空。南国と聞いてイメージする世界がここにあり、写真撮影スポットとしてはいちばん絵になります。天体観測スポットとしても有名で通ったのは、ほぼそれが理由。自然に生まれた海岸ではないからか、シュノーケリングスポットとしては他に劣る。
6位:前浜(大村海岸)
アクセス◎ 魚影△ 珊瑚△
地図上では大村海岸と書いてあるが、現地の人はみんな「前浜」と呼んでいる。集落から至近距離なので、ビールでも買って芝生でごろごろするのが最高。海も驚愕のキレイさだがシュノーケリングよりは海水浴向き。夜は害のない小ザメがたくさんいるのがよく見える。星空を見ながらウミガメを待つ時間が何よりの贅沢。
7位:コペペ海岸
アクセス◯ 魚影△ 珊瑚◯
潜って昼寝して、潜って本読んで…。1日中いられるぐらい適度に整備された環境が最高。海の中にも海中案内板があったり、小港海岸まで泳いで行けそうだったり、海中探検はやりがいがある。とはいえ、観光客よりは、住んでる人が好きになるビーチかも。
8位:ジョンビーチ
アクセス× 魚影△ 珊瑚△
駐車場から、ふたつの山を越えて歩くこと2時間30分。ようやくたどり着いて、がっかりするビーチ。ここで見られる「枕状溶岩」は貴重らしいが、シュノーケラーとしてはそんなことより魚が見たい。ビーチはとにかく、その長時間にわたるトレッキングこそが至高。おすすめしたい場所に違いはない。
9位:扇浦
アクセス○ 魚影× 珊瑚×
ビーチから歩ける至近距離に商店や自販機があるビーチは前浜以外ではここだけ。でも、それだけ。
10位:ブタ海岸
アクセス× 魚影× 珊瑚×
海に入る気がしないぐらい真っ黒。ここだけが、なぜ湘南の海と同じ色なのかが不思議。
番外編:母島
アクセス△ 魚影◎ 珊瑚◎
母島でも、「北港」「東港」「蓬莱根」「南崎」で泳いでみました。総じて父島よりも魚は多く珊瑚礁も美しい。ランキングに入れるとすべてが4位以上に入るだろう。キレイさと楽しさでいえば「北港」。イルカやウミガメ、サメなどの大物も出没し、度胸だめしの飛び込みスポットもある「東港」も、ぜひ行ってみてほしい。
「アクセス」は、原チャリがなくても行ける「◎」、原チャリがあれば行ける「◯」、原チャリの駐車場からどれだけ歩くか「△〜×」で評価しています。ツアー漬けでもない限り、小笠原に着いたら原チャリレンタルは必須です。
また、注意書きをするまでもありませんが、海況はかなり変化します。僕が潜った日が、たまたまハズレだったビーチもあると思います。とはいえ、島の人から聞いた話を含めてもやはり上位4つのビーチは泳いで損のないビーチだと思います。
(ライター:志賀章人)(フォト:杉浦弘樹)