大村地区からいちばん遠く、バスの終着点でもある小港海岸。そこからさらに徒歩で150分かかると言われる「ジョンビーチ」を目指す。徒歩でしか、そして山をふたつ越えないとたどり着けない秘境ビーチ。ジョンビーチのとなりにあるジニービーチは現在、船でしかいけないらしい。
注意点をあげるとすると、整備はされているが獣道や岩場も多いので、サンダルは本気でやめたほうがいい。自販機なんてもちろんないので、水は本当に2ℓ持って行った方がいい。そして、ジョンビーチは、個人的にはいまひとつだ。大村地区にある宮の浜や、製氷海岸のほうがよっぽどいい。
それでも、ジョンビーチをおすすめしたくなるのは、ビーチとしてではなく、トレッキングとして最高の体験だったから。まず、歩く道すべてが世界遺産。いつ天然記念物が飛び出してくるか分からないほど、たくさんの鳴き声に包まれる。そして、中山峠。ここの縦走は、左手に山々、右手に海。とてつもない絶景が味わえる。高山山頂の直前の縦走も苦労したぶんだけの感動が待っている。
それだけではない。往復5時間、ちょうど夕日が落ちるころ。疲労で膝を震わせて辿り着いた復路の中山峠で、とてつもないご褒美が待っていた。
前方には、美しすぎる真っ赤な夕日!
振り返ると、くっきりと180度を描く虹!しかもダブル!!
もう一度前を見ると、空と雲が描き奏でる雄大なアートが!
写真はすべてフォトグラファー杉浦弘樹(すーじー)のもの。iPhoneでは、とてもじゃないけど収めきれない。前に、後ろに、空に踊らされるほどの、圧倒的な絶景。「これが小笠原の自然の力なのか」と思うと転出届けを準備せざるを得ない。
ジョンビーチは確かに遠いし時間もかかる。行くか、行かないか。迷った人がいたら、必ず行ったほうがいい。僕はそう強くすすめたい。
(ライター:志賀章人)