『誰が担いでもいい。何を着て担いでもいい。』
それが、「貞頼祭り」のキャッチフレーズ。
実は「小笠原貞頼神社例大祭」なんて誰も呼ばない。
「貞頼さん」呼ばわりされて親しまれているのは、
小笠原を発見したと言われている「小笠原貞頼」。
実在したかも分からない伝説上の人物だけど、
「細かいことはとにかく、貞頼さんに感謝しよう!」と、
発見した日といわれる7月26日に毎年行われているお祭りです。
これがもう本当に、ウェルカムでピースフル。
僕らのような観光客も「一緒に担ごう!」と巻き込んでくれる。
そんな「かなめ会」の方たちが、ほんとうにカッコイイんです。
誰より声を枯らして主導してくれる、いっちーさん。
『ドッコイ ドッコイ』という掛け声は、船でオールを漕ぐリズム。
「ソイヤ!ソイヤ!」じゃ漕ぎにくいもんね。
ちゃんと小笠原の歴史に紐づいているのです。
伝説の担ぎ手であり、神輿の作り手でもある、タコG。
1年に40近くのお祭りに参加して、神輿を担ぎ続ける「カツギスト」。
両肩に“フリーザ第二形態”みたいな「担ぎダコ」がある。
そんなタコGが最も愛するお祭りのひとつが貞頼祭りだという。
“お神輿夫婦”としてタコGを支える、おっかぁ。
みんなが首から提げる「喧嘩札」というネックレスには、
おっかぁが書いた「貞頼さん」という字が刻まれている。
そして、総監督のRYOさん。
伝説のサーファーであり、シーカヤッカーでもあり、
僕たちが泊まっていた「エコビレッジ ぷーらん」のオーナーでもあり、
家をつくり、野菜をつくり、自然とともに暮らす生き方を実践している“ぢきゅう人”。
ハッピも貸してくださいました!
さて、神輿を担いで村をひたすら練り歩きます。
「ドッコイ!ドッコイ!」「ドッコイ!ドッコイ!」
ときに民家に突入。水が四方八方から飛んできます。
『誰が担いでもいい』というのは本当でした。
祭り独特の、「地元民だけの内輪感」とか、
「体育系の男たちのコワイ雰囲気」とか、いっさいナシ!
小笠原の島柄なのか、RYOさんたちの人柄なのか、
居心地のいい懐の深さがそこにあります。
子ども神輿もあります。かわいいだけじゃなくて迫力満点!
お次は、おんな神輿!あんなに重いのに、軽々と…!
もう肩パンパン、腕パンパン…でも、気持ちいい!
横脇から支える分にはたいしたことないのだけど、
前方に入るとかなりヤバイ!重量が一気にのしかかってきます。
けど、重くて辛いほど、気持ちよくなってくるのがお祭りの不思議。
と、ここでウミガメの放流も行います。
さて、ここからが貞頼祭りの真骨頂。
なんと、神輿を担いで海へ突入!
まずは子どもから!
海に浸かったところで、大人たちが寄ってたかって水かけします。
そして、大人たちもGO!GO!GO!
前のほうの、中のほうで担いでいたのですが、
え、まだ行くの?まだ行くの?てか完全に足付かないんだけど…溺れる!
そこからは、神輿に登れぃ!乗っかれい!なテンション。
神輿がイカダになるなんて!
あれ、流されてない?どうやって引き返すの?
と思いながら溺れていたのですが、そこからがまた素敵。
みんなで手をつないで引き上げるんです!
全身びしょぬれ当たり前。スマホなんて誰も持ってない。
写真は安全圏からの撮影に徹したすーじーさんのおかげ。
参加者にとっては、貴重でかなり喜ばれていました。
祭りって、神輿って、こんなに楽しいんだ。
親の転勤のせいで、地元がない僕にとっては
なんだか小笠原に地元ができたような気持ちがして、
もちろん、そんなことを思うのはおこがましいんだけど、
こんなふうに担がせてくれて、
そう思わせてくれる小笠原がやっぱり好きだなって。
そんなわけで7月26日を旅程に入れられる方はぜひ。
朝9時からスタートして、だいたい16時くらいまで。
亀煮やおにぎり、ビールもごちそうしてくださいます。
RYOさん、いっちーさん、タコG、おっかあ、そしてかなめ会のみなさん、
ほんとうにありがとうございました!!
(ライター:志賀章人)(フォト:すーじー)