それをやりたいというと、全員に止められた。
旅行者はもちろん、島の人にも、レンタサイクルのスタッフにも。小笠原の父島は坂の多い島。どこへ行くにも、いくつもの山を越えていく必要がある。
レンタサイクルできるお店は島に2店。「パパヤ」と「小笠原観光」しかない。数に余裕があるわけではないので、ピークシーズンに行く場合は予約したほうがいい。パパヤの場合、自転車が48時間2000円。原チャリを72時間借りても4500円。小笠原観光はもう少し高いが、そのぶん電動チャリだったりする。
ルートは二見港から夜明道路を走って「長崎→初寝浦→中央山→小港海岸→扇浦→堺浦→二見港」に帰ってきてから「宮之浜→三日月山展望台」。
宿がある二見港からサイクリングスタート!
いきなり坂道。いや、これから先はずっと坂道。
あっという間に二見港は、はるか下界の彼方へ。
チャリを降りて岬に向かうたった30mの山道で、野ヤギと4匹出くわした。その先にはこの絶景。
初寝浦をこえてひたすら登り続ける。もはや、サイクリングよりウォーキングに近い。
中央山の頂上は、小笠原のマチュピチュでした。雲がすごい速さで流れていき、ガスが晴れたときには、小笠原の深緑の森と紺碧の海が、眼下にドカンと広がります。
山を下るときだけは、みんな笑顔。ブレーキから煙が出るくらい下り続けます。
バスの終着点でもある小港海岸へ。山から海へ、坂を降りるとガラリと景色と空気が変わります。そのあとのビーチは、ビールより格別!
さらに3つぐらい山を越えてスタート地点の二見港へ。途中、沈船が見える境浦を通過。
二見港に帰還、汗ぐったり。ビーチもいいけどやっぱりビールも格別。
宮之浜で遊んでからの三日月山展望台へ。ウェザーステーションと言われる夕日スポット。ここに向かうまでの坂道がいちばん地獄だが、もはや語るまい。
実感としては、最短最速で走れば4時間でいけるけど、筋肉が破裂します。ビーチや展望台に立ち寄りながら、のんびり走って10時間。1周は20kmもないけれど、山あり谷あり以上に見どころあり。ぜひ、一度は試してほしいと思います。
二見港以外に商店も自販機もないので「水2ℓ」「軽食」は持っていきましょう!
(ライター:志賀章人)