ラブソングは、185km。
ザトウクジラの歌は、ずっと遠くまで届く。
おがさわら丸の中に貼ってあった一枚の広告。
乗客が最初に目にする乗降口から船室に入る階段にそれは誇らしげに貼られていた。
ひょっとすると、僕が生まれるより前に生まれた広告かもしれない。
このコピーを書いたコピーライターは幸せだなと思う。
はじめての小笠原となる人にとっては、旅の第一印象となる驚きに。
何度目かの小笠原となる人にとっては、帰ってきたなと思える安らぎに。
本来ならば契約社員のように期間限定で仕事をするコピーだけど、
ここでは、ずっとこれからも1本のコピーとして大切にされて
働き続けるんだなと思うとうらやましい気持ちになる。
コピーでもコピーじゃなくても、言葉をつくるものとして、
そういう仕事をしていかなければ、と改めて教えてくれました。
(ライター:志賀章人)