ビーチリゾートじゃないところがいい。(芝崎さん)

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02 : uli-hahajima 母島の山ガイド

芝崎さん

 

「2000年にはじめて「アド街ック天国」の取材で小笠原に来たんです。」そう話してくれた芝崎さんは、元テレビディレクター。そのときお世話になった方からの紹介で母島に移り住んだ異色の経歴の持ち主。現在では「山のガイド」をされています。そんな芝崎さんに父島とは違う母島の魅力を教えてもらいました。

 

•今の母島が昔の父島?何もないけど何かある。

もともと小笠原って移民の島なんで、ヨソ者に対してもウェルカムなところがあるんです。強制疎開とか色々あって歴史も分断されてるせいか、参入しようとする人には、沖縄より障壁が低いのかなという気がしますね。母島はとくに昭和43年に返還されるまで無人島だったので。

印象的なのは、母島に移り住むことになってから取材でお世話になった人たちに挨拶にいったとき。みんなが「バカだねー」と言いながらニコニコ笑いかけて受け入れてくれて。「来てよかったな」ってそれだけで思えた気がしました。今では、島民450人、全員の顔はわかります。

母島には、父島にはない離島感があって、いい意味でもわるい意味でも観光地化していないところが僕は好きです。商店も3軒しかないし、飲食店もたったの4軒ぐらい。閉店時間も早いので、メインストリートのガジュマルの木の下で飲んでる人が多いです。そういう意味では“ガジュ下”はディープな母島ですね。

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•ほかの家の子を“呼び捨て”にできるくらい、子育てをシェアしている。

母島には、子供たちをみんなで見ている雰囲気があります。子供が歩いていると、誰々さんの子ってすぐ分かっちゃうんで、お母さんが忙しかったら他のお母さんが面倒を見ますしね。子どもの名前を呼び捨てにするぐらい、島全体で子供を見ている。お父さんどうし、お母さんどうしのつながりも強いし、それは父島より濃いかもしれませんね。

母島には子どもたちが多くて、ひとりっ子を探すほうが難しい。だいたい2、3人はいるんですよね。所得レベルは高くないという意味では、子供たちにお金をかけている割合がかなり多いかなと思いますね。

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•「母島に移住してよかった」と話す柴崎さんの暮らしとは?

山の自然再生の仕事とガイドをしながら、この島で生活できれば、そんなに幸せなことはないですね。休みの日にダイビング行ったり、海がよければカヤック行ったり、クジラのシーズンになればクジラを見たり。ウミガメは今日も上がると思いますしね。砂浜がほとんどないところでも産卵しに来ますからね。ガジュ下で飲んでたら、のそのそっと上がってきて。たまに道に迷って、堤防の上とかで動けなくなってるのを酔っ払いが一生懸命助けたり。

ほかには、母島に来て物欲がなくなりました。年に一回、内地に行ったときには使っちゃいますけど、こっちいるとき全然使わないですから。洋服もね、スーツなんか買わないし、Tシャツがよれてきたらもう一枚ぐらい買おうかとかそういう感覚ですし、余計な情報が入ってこないから、必要ないものは買わなくなりますね。ちなみに、映画のDVDとかはポストで返却もできるんですよ。

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「ビーチリゾートじゃないところがいい。」小笠原の魅力をそう教えてくれた芝崎さん。島民の暮らしがすぐそばにあること、作り物ではない本物の島時間を味わえること、それは小笠原でしかできないことなのかもしれません。突然の依頼にも快くお話を聞かせてくださった芝崎さん。母島に行った際には、ぜひ芝崎さきさんに案内してもらうことをおすすめします!

uli-hahajima 芝崎さん
http://www.uli-hahajima.com/

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(ライター:志賀章人)