心、動いた島。小笠原のススメ。

僕は今東京へと向かうおがさわら丸に乗り、満天の星空の下でこの記事を書いている。

 
小笠原最終日、いよいよ父島を出発して東京に帰る日が来た。

小笠原で出会った沢山の人が僕たちの小笠原出発を見送ってくれた。

 
見送ってくれた人たちと一緒に過ごした時間はそれほど多くはない。
でもその時間は僕たちにとっては愛おしく、忘れがたい時間だった。
だからこそこの見送りはとても嬉しく、同時に切なくもある。

 
小笠原には出航するおがさわら丸を沖まで見送り船で並走し、船の上から海面に向かってダイブしてお見送りする習慣がある。

 

滞在期間中にお世話になった方々が次々と海へ飛び込んでくれた。
その姿を見てやはりなぜか泣けてくる。
一緒に過ごした時間は多くはない。
でも小笠原という場所で、同んなじ何かを互いに知らないうちにシェアしていたのだろう。

 
小笠原を愛する気持ち
共に小笠原を楽しみたい気持ち
出会いを大切にしたい気持ち
また会えるようにと願う気持ち

 
互いに言葉には出さないけれど、ここ小笠原で出会ったご縁を心の奥底で互いに感じとっていたのかもしれない。

 
お見送りをする時に島に残る島人たちはみなこう口にする。

「いってらっしゃい!!」

出会えた喜びと再会への誓いの言葉。

沢山の出会いと別れを経験してきた島人らしい別れの挨拶。

 

いつでも帰っておいでと言ってくれてるようで感動した。
まるで自分の家を出発するときのようだった。

 

 

20歳の時、世界の発展途上国をバックパックを背負って旅をした。
10ヶ月間、15カ国。
各地で国際ボランティアをしながらコミュニケーションを学び、そして感じたままに流れてきた。

 

今回はそれ以来の7年振り。
背負ったバックパックに懐かしさを感じながらスタートした小笠原の旅。

 

かつて世界の途上国を歩き回って今でも思い出すのは、世界遺産や有名な観光スポットではなく各国、各地で出会った旅人と現地で暮らす人たちの顔だったりする。

今回の小笠原の旅もそういう旅にしたいと思っていた。

 

旅の醍醐味は出会いにある。

きっと何年経っても思い出すのは出会った人たちの笑顔だと思うから。

 

 

旅慣れた人にとっても全く未知の世界を見せてくれる小笠原。
初めて旅をする人を優しく包み込んでくれる小笠原。

 
長期休暇を取れたなら、小笠原に足を運び満天の星空を観ながら島民との触れ合いを楽しんで欲しい。

 

きっと自分の中の心が動く瞬間がある。

 

未知なる自分を探している人。
何かに向かって頑張っている人。

 

そんな人にこそ足を運んで欲しいと思う。

 

小笠原のススメ。

 

 
ライター:  田知本直広(たっち)